哲学的に真理は、宗教的に神の道であり 科学的には実在の原理であるから反するは滅ぶ

 世にあるいっさいのものには、自然に生みつけられた、各々の歩むべき道がある。その道を、宗教的にいうと神の道であり、哲学的にいえば真理であり、科学的にいうと、ものの発生する根本原理である。

 その原理法則に従ってゆくときに、真の平和と繁栄が得られ、それを知らずにいたり、無視する行動をとると、自然の法則に反するから滅亡する。

 その手近な例をあげると、お百姓も四季の変化に即応して、種を蒔き手入れをし、努力をするからこそ収穫がある。

 米麦等の作物を作るにも、そのような、動かすことのできない自然の法則があって自転してゆく。その軌道から外ずれては、如何に肥料をやり手入れをし、努力しても、目的どおりの収穫を得ることができない。

 それは人間でも植物でも、なんにでもいえることで、すべてのものにはみな通るべき順序、道筋がある。

 大きくいえば太陽の動き、地球の自転と公転、その他の星の運行にも一定の周期軌道があり、それによって暦ができている。

 よって昔から神を尊敬し、神の道に従うことを人類は尊び、行い、そして伝えてきたが、特にここ百年足らずの間に、物質科学文化が非常に発達してきたがために、万事が人間の知恵によって成し遂げられると錯覚し、そしてその自然の法則、神の道をないがしろにして、ますます無軌道的な暴走をしているところに今日の人類が恐るべき悩みに直面している。

 しかし未だそれに気づいている者がなく、それを指導するのが宗教家の役割りでありながら、宗教家自身が神を無視し、存在を認めず、職業がら神仏を説いても、内心はそれを認めているものはほとんど稀である。

 そして紙一枚隔てたなら、物を見破ることができないような浅薄な肉眼に捉われて、刹那的感情に走り、今日はいっさいが混乱状態に陥っている。

 その最も大きな誤りは、人類にとり百害あって一利なき原水爆の製造であり、その禁止は、全人類が叫びつつ取りやめることができないでいる。

 もう一歩、それを誤って戦争に用いるときは、人類の大半が滅亡し、文化は一度に破壊され、もしそれが極度に地球の半面にあって連鎖爆発すれば、ちょうど人工衛星が噴射作用によって飛び出すように、地球が天体の引力の均衡を失って動きだし、流星のように、忽ち消滅するかも知れぬ恐ろしいところにはいってきている。

 またその誤りを個々に見れば、教育にしても、医学にしても、経済にしても、どの方面にしても今日のあり方は、みな中心軌道から外ずれているから、一方が良ければ一方が悪くなるという状態に陥って、収拾のつかぬ混乱を引き起こしている。

 たとえば医学にしても、病は、環境と精神と肉体の三方面の運用を誤り、生理機能を妨げて起こっているのであるから、それを神の道に引き戻して、そして健康と長寿と真の幸福を得さすべく指導すべきにも拘わらず、そこに気づかず、それらを放置して、ただ悪い部分を切り取ってしまうということは、今の医学が、その本来の目的と全く正反対の方向に暴走しているものであって、これをまた現代人が医学のように見ていることは、誠に恐るべき時代に直面しているといわざるをえない。

 この際、東洋人の持ち前の、精神科学文化の特長を最高度に発揮せしめて、人類を神の道に引き戻し、そして正しい軌道に導くとき、今日の矛盾混乱が解消し、全世界の人々が共通の利点に帰納できて、共存共栄の理想社会が展開することになる。

その重大な役割が、東洋アジア人に課せられている。

 今日までの西洋物質科学文化によって、世界全人類が蒙った恩恵は大きなものである。

 これに対する、つぎは東洋の精神科学文化により、欧米人への報恩の意味をもって、神の道のもつ正しい道を世に発表し、今日の世界の混乱を救うところに重大な役目がある。