現代人は自己を過信し 神の道より離るるに従い、禍(わざわい)その身に集まる

 人は自力によって、この世に生れ出た者はひとりもいない。

何人といえども、天地大自然の法則、すなわち神の道によって生まれ出てきている。

 しかるに現代人は、物質科学が驚異的に発達したため、自然の法則、神の道を見失い、自力によって、いっさいのものが解決するかのように思っている。

 そして自然の道理より外ずれ、そのために発生した矛盾が、人類自身に集まって、今日の世界は、最大より最小に至るまで、あらゆる分野にわたり混乱と摩擦を引き起こし、まさに人類滅亡の前夜に迫っている。

 いまここで自己自身を反省してみれば、人は自力によって生き得られているというところは微塵(みじん)もない。

 たとえば、食べ物が喉を通れば滋養化され血液となって、その養分は均等に消耗した個所に配給され、やがて骨肉、毛髪、爪等に変わり、また眠っている間も心臓は鼓動し、呼吸をしつづけている。そして、人間は五十年なり百年なりの天寿を全うできるのである。

 このようにして、自己が生かされていることを、よくみつめてゆけば、そのなかに偉大なる神の道、自然の法則が働いていることが明らかである。また自己の力が、如何に貧弱なものであるかもわかるはずである。

 ゆえに人間は、自己の知恵がどれほど優れていても、その天地大自然の法則、神の道に従う以外に、自己の真価を最高度に発揮する道はない。

 自己がほんとうの幸福を望むなら、自己が生み出され、自身が生存せしめられているところの法則に、順応して行くよりほかないのである。

 この宇宙には、万有を生成流転せしめている一大法則が、厳然として実在する。

 それが、宗教的にいえば“神の道”であり、哲学的にいうと“真理”であり、科学的にいえば万有“実在の原理”である。

 したがって、人類が真の幸福と永遠の発展を願おうとするならば、即刻、自己過信の誤りを放棄し、心眼を開いて、大自然の法則、神の道の実在を悟り、それに従って努力善処するとき、はじめて今日の世界的混乱と摩擦抗争が解消し、そこには想像を絶した理想社会が展開する。

 これに反し、もしこのまま自己を過信して進むときには、今日の発達した物質科学文化に正比例して、人類は一路壊滅への道を暴走することになる。